2012/04/22

雑節(ざっせつ)


【  日本の暦・雑節(ざっせつ) 】


 雑節(ざっせつ)とは、二十四節気・五節句などの暦日のほかに、日本の気候風土にあわせ、季節の移り変わりをより適確に把むために、 日本の暦に設けられた暦日のことで、一般的に下記の9つを言う。

【 節分 】、【 彼岸(入・中日・明) 】、【 社日 】、【 八十八夜 】、【 入梅 】、
【 半夏生 】、【 土用(入) 】、【 二百十日 】、【 二百二十日 】

 また上記の他に、「 初午(はつうま) 」、「 三元(上元・中元・下元) 」、「 盂蘭盆(うらぼん) 」、「 大祓 (おおはらい)」などを加える場合もあります。


《  雑節・新旧暦対応表  》
四季新 暦旧 暦雑 節
3月18日頃2月 3日頃春彼岸入
3月19日頃2月 4日頃社日(春)
3月21日頃2月 6日頃彼岸(中日)
3月24日頃2月 9日頃彼岸明
4月17日頃3月 4日頃春土用入


5月 2日頃3月19日頃八十八夜
6月11日頃4月29日頃入 梅
7月 2日頃5月21日頃半夏生
7月20日頃 6月 9日頃夏土用入


四季新 暦旧 暦雑 節
9月 1日頃7月23日頃 二百十日
9月11日頃8月 4日頃二百二十日
9月20日頃8月13日頃秋彼岸入
9月23日頃8月16日頃彼岸(中日)
9月25日頃8月18日頃社日(秋)
9月26日頃8月19日頃秋彼岸明
10月20日頃9月13日頃秋土用入
1月17日頃12月 3日頃冬土用入
2月 3日頃12月20日頃節 分






*上記、一覧表の四季区分は現行暦(新暦)の季節感に合わせ、立春からを春として勝手に区分したものであります。 したがって文学的、学術的に正確な区分とはずれていることをご了承下さい。


【 関連語句 】

● 【 社 日 】しゃ‐にち。
 春分、秋分に最も近い戊(つちのえ)の日で、1年に2回ある。
土地の産土神(うぶすながみ)に参拝する日とされ、春には豊作を祈り、秋には実り豊かな収穫に感謝し祝う神事が行われる。

● 【 節 分 】せつ‐ぶん(せちぶん)。
 節分とは季節の変わり目を意味し、四季それぞれの季節の分かれる日。もともとは立春・立夏・立秋・立冬の前日をさし1年に4回あったが、 のちに春の節分(立春の前日)だけを「節分」と呼ぶようになる。
 立春は四季のうち、冬から春になる時で、古くは一年の境(初め)と考えられた。この前夜(節分の夜)は大晦日にあたり、 柊(ひいらぎ)の枝に鰯(いわし)の頭を刺したものを戸口にはさみ、節分豆と称して、煎った大豆をまいて、厄払いの行事を行う。

● 【 彼 岸 】ひ‐がん。
 彼岸(ひがん)は「彼岸会(ひがんえ)」とも言い、日本の仏教行事(仏事)に由来し、先祖を供養し墓参りをする風習がある。
 春分または秋分を「彼岸の中日」とする前後各3日をあわせた7日間を「彼岸」とし、 最初の日(1日目)を「彼岸の入り」、最期の日(7日目)を「彼岸の明け」と言う。
 暦の上では、「春の彼岸入り」3月18日頃、「春の彼岸の中日(立春)」3月21日頃、「春の彼岸明け」3月24日頃。
 暦の上では、「秋の彼岸入り」9月20日頃、「秋の彼岸の中日(立春)」9月23日頃、「秋の彼岸明け」9月26日頃。

 彼岸とは、仏教の「浄土信仰」でいう「極楽浄土」(「西方浄土」ともいい、阿弥陀如来が治める平穏で迷い、苦しみのない世界で、 人々は死後この世界に生まれ変わることを願った)で、それに対し「現世(げんせ)」(現在生きているこの世界)を「此岸(しがん)」と言った。
 煩悩(迷いや、苦しみ、恨みなど)に満ちた状態(この世「此岸」)に対し、煩悩を取り去り、解脱、悟りの境地に至った状態(あの世「彼岸」)を指す言葉に由来すると言われる。

 ちなみに、「春の彼岸(牡丹の花が咲く頃)」にお供えするのは、「ぼたもち」、「秋の彼岸(萩の花が咲く頃)」にお供えするのは「おはぎ」 と呼び区別することもある。 また地方により使用する餅(もち)となる米の状態や、餡(あん)の材料や状態により、それぞれ呼び方が異なる場合もある。

「暑さ寒さも、彼岸まで」の言葉にもあるように、それぞれの季節の変わり目をうまく表現した言葉です。

● 【 土 用 】ど‐よう
 陰暦で、立春・立夏・立秋・立冬の前各18日間の称。陰陽五行説で四季を五行にあてはめる場合、春・夏・秋・冬を木・火・金・水に配すると土があまるので、 四季それぞれ90日あるうちの終わりの五分の一ずつを土にあてたもの。

 春は清明、夏は小暑、秋は寒露、冬は小寒の後、各13日目に土用に入り、18日で土用が明けて次の季節が始まる。この期間は、土公神(どくじん)が支配するといわれ、 土用中に土を犯すことは忌むべきこととされ、葬送(土葬)などはこの期間は延期された。

 一般には、土用といえば夏の土用をいいます。小暑から立秋までの夏の最も暑いさかり。暑気あたりを避けるため、また、元気をつけるため、蒜(にんにく)・鰻(うなぎ)などを食べる風習があり、 特に土用の丑の日にウナギを食べるという習慣は、江戸時代(後期)に医者で蘭学者でもあった平賀源内が、知り合いのうなぎ屋にたのまれ「本日土用の丑の日」と書いた張り紙をし、 古来より精の付く食材としても知られていたうなぎが、夏バテ予防にも良いと宣伝をしたのがきっかけで広まったともいわれている。当時は、丑の日に「う」の付く食べ物を食べると病気にならない等の迷信もあり、 大いに繁盛したとも伝えられる。

 ちなみに、バレンタインにチョコレートをプレゼントする習慣も、本々は某食品メーカーの販売戦略から。

●【 八十八夜 】はち‐じゅう‐はち‐や
 立春から八十八日目の日。陽暦(新暦)の5月1日、2日ごろにあたる。

 昔から「八十八夜の別れ霜」の諺(ことわざ)があるように、この頃になると気候も暖かくなり、 そろそろ霜の降りる終わりの頃とされ、農家では種蒔(たねま)きのなどの農作業の目安とした。
 またいっぽうでは「九十九夜の泣き霜」(「八十八夜の泣き霜」とも言うこともある)の諺(ことわざ)もあるように、 遅霜(おそじも)により農作物が大被害を受け、農家にとっては泣くに泣けない事にも成りかねない時期でもある。

「夏も近づく八十八夜、野にも山にも若葉が茂る、あれに見えるは茶摘じゃないか・・・・」と、 文部省唱歌にも歌われたように、毎年この頃摘まれる一番摘みの若葉は、高級茶葉として取引される。

● 【 入 梅 】にゅう‐ばい
 入梅は5月節気の最初の壬(みずのえ)の日とされていたもので、太陽の黄経が80度に達した時をいい、暦(新暦)のうえでは6月11日頃にあたる。  俗に「梅雨」と同義に用いられていることもある。
 実際の「梅雨入り」、「梅雨明け」は、毎年気象庁により発表され、その年によりまちまちで必ずしも暦とは関連していない。

● 【 半夏生 】はん‐げ-しょう
 かっては夏至から数えて11日目とされていたが、現在は太陽の黄経が100度に達した時をいい、暦(新暦)のうえでは7月2日頃にあたる。  またこの日より5日間を指すこともある。 この期間は天上より毒気を下す日とされ、農作業を忌嫌う風習があったようだ。
 この日までに田植えなどの春の農作業を終え、一息入れる目安としたのだろう。

 名称の由来は諸説あり、半夏(別名:カラスビシャク)という毒草(薬草とも言われ生薬の「半夏(ハンゲ)」の原料とした)が生えてくる頃とも、 半化粧草(別名:カタシログサ。ドクダミ科の仲間)の葉が半分白くなり始める頃とも言われている。
また、この時期に降る雨を「半夏雨(はんげあめ)」と呼び、大雨になることが多く農作物などへの被害を恐れた。
 梅雨(つゆ)末期の大雨のことだろうか。気象予報などない頃である。人々は季節のサイクルの中で得た生活の知識として伝承してきたのだろう。

● 【 二百十日 】にひゃく‐とおか
 立春から数えて二一〇日目に当たる日。暦(新暦)のうえでは9月1日頃とされ、台風の襲来が最も多い時期で、 特に稲の収穫期にあたる農家には、厄日として警戒する頃でもある。

● 【 二百二十日 】にひゃく‐はつか


● 【 初 午 】はつ‐うま


● 【 上 元 】じょう‐げん


● 【 中 元 】ちゅう‐げん


● 【 下 元 】か‐げん


● 【 盂蘭盆 】う‐ら‐ぼん


● 【 大 祓 】おお‐はらい