長大な鼻、真っ赤な顔、長い白髪の天狗は、山中に住み、 怪力をもち、羽団扇などの呪宝により、自由に空中を飛びまわる想像上の妖怪である。
日本では、山の中で起こる不思議な自然現象を、天狗の仕業と言い伝えられてきた。
大木をひく音や、倒れる音がすると「天狗倒し」、大勢の人が笑う声や話し声が聞こえれば、 「天狗笑い」、どこからともなく石が落ちてくれば「天狗つぶて」といい、 そのようなことが起こった所は「天狗の通り場」ともよばれてきた。
「椎の木森」の鎮守様とは、篠窪にある「三嶋神社」のことか。 神社の鳥居前を「旧矢倉沢往還」が通り、江戸時代には「大山阿夫利神社」へ参拝する人々が利用していた事から、大山道とも呼ばれていた。
今も参道入口には、椎の木の巨木が保存されていて、車道を覆う様に枝を伸ばしている。
また、道了尊とは「大雄山・最乗寺」のこと、いずれも古くより山岳修験の霊場として知られ、天狗伝説が残されている。
(かながわのむかしばなし50選)より